2011年6月アーカイブ
チャタリング対策ができたので、その方法を書いておきます。
なぜ、割り込み処理でディレイを入れても、チャタリングが発生するのか?
AVRは、割り込みが発生すると割り込み要求用のレジスタ(割り込み要求フラグ)に1がセットされます。セットされると、割り込み処理にジャンプし、処理が行われます。割り込み処理の開始と同時に、フラグが0になりクリアされます。
割り込み処理を開始された後、スイッチのチャタリングが発生すると、一度クリアされた割り込み要求レジスタに1が再びセットされます。通常、このフラグが立つと、即座に割り込み処理が開始されますが、割り込み処理中なので、一時的に割り込みが無効になります。そのため、割り込み処理が終了したあと、また割り込み処理が開始されます。つまり、同じ処理が2回実行されてしまうわけです。
解決策
データシートによると、割り込み要求フラグは、割り込み処理が開始されるとクリアされるようです。さらに、割り込み要求フラグに1を書き込むことでも、クリアすることができます。
各種割り込みに対応するフラグの一覧を挙げます。
外部割り込み(INT0,INT1) EIFR
ピン変化割り込み0-2(PCIE0-2) PCIFR
例えば、INT0の割り込みをクリアするには、EIFRのINTF0をクリアすれば良いです。
注意としては、ピン変化割り込みは、ポート単位でのクリアしかできません。例えば、PD0の割り込みをクリアするとします。すると、PD1-7までクリアされてしまい、割り込み処理がなされない場合があります。
アルゴリズム
チャタリングを解消するためのアルゴリズムを考えました。
- 割り込みが発生する。
-
割り込み処理が開始
- チャタリング発生のため待つ(5ms程度)
- 要求フラグに1をセットする
- 各種割り込み処理を行う
こうすることで、チャタリングを解消できます。
プログラムリスト
プログラムリストを載せておきます。
前回のロータリーエンコーダのプログラムをバージョンアップしたものをアップロードしておきます。内容の詳細は、以前の記事を見てください。
チャタリング対策済み割り込み処理 re_intr2.c
AVRで、ロータリーエンコーダを使ってみます。環境は、ATmega88P、AVR Studio + WinAVR(C言語)です。
ロータリーエンコーダとは
ロータリーエンコーダとは、回転を検出するためのセンサーです。軸を回転させ、それがどれくらいの角度で回ったかをセンシングできます。回転角度の分解能は、さまざまです。
電子レンジなどで時間を設定するダイヤルとかにロータリーエンコーダが使用されています。
可変抵抗を使用しても、回転角度をアナログ的に見ることができますが、ロータリーエンコーダは、デジタル的に見ることができます。また可変抵抗とは異なり、回転角度が制限されておらず、一定方向に何度も回転させることができます。
ロータリーエンコーダの信号について
ロータリーエンコーダは、2つの出力端子を持っています。それぞれ、A相、B相となっていて、回転回数と回転方向を検出します。
ロータリーエンコーダには、インクリメンタル方式とアブソリュート方式の2種類があります。ここでは、インクリメント方式のロータリーエンコーダで説明します。
ロータリーエンコーダのA相とB相の出力される信号の方式には、様々な仕組みあります。今回は一番単純な機械スイッチが入った物を使用します。この方式は、ロータリーエンコーダ内部にスイッチが入っており、片方がGND、もう片方がそれぞれの相に接続され、スイッチのON/OFFで出力します。マイコンなどで使用するときは、単純なスイッチなので、プルアップ抵抗もしくはプルダウン抵抗が必要になります。ですがAVRには、内部にプルアップ抵抗があるので、抵抗を必ずしも用意する必要はありません。
ロータリーエンコーダは、A相・B相で回転したかどうかがわかります。信号の意味の詳細は、ロータリーエンコーダの仕様書を見ると書いていますが、案外単純なプログラムで検出できます。
A相もしくはB相をトリガーとして、もう一方のHiかLoを見るだけで回転したかを確認できます。手順は、
- A相を立ち下がりを見る。
- B相がLoの時、時計回り(もしくは反時計回り)。Hiの時、反時計回り(もしくは時計回り)。
- 1-2を繰り返す。
となります。これで、回転したかを検知することができます。トリガーをうまく使うと、細かな回転を検知できますが、ステップ付きのロータリーエンコーダでは、この手順で十分です。