AVRで、ロータリーエンコーダを使ってみます。環境は、ATmega88P、AVR Studio + WinAVR(C言語)です。
ロータリーエンコーダとは
ロータリーエンコーダとは、回転を検出するためのセンサーです。軸を回転させ、それがどれくらいの角度で回ったかをセンシングできます。回転角度の分解能は、さまざまです。
電子レンジなどで時間を設定するダイヤルとかにロータリーエンコーダが使用されています。
可変抵抗を使用しても、回転角度をアナログ的に見ることができますが、ロータリーエンコーダは、デジタル的に見ることができます。また可変抵抗とは異なり、回転角度が制限されておらず、一定方向に何度も回転させることができます。
ロータリーエンコーダの信号について
ロータリーエンコーダは、2つの出力端子を持っています。それぞれ、A相、B相となっていて、回転回数と回転方向を検出します。
ロータリーエンコーダには、インクリメンタル方式とアブソリュート方式の2種類があります。ここでは、インクリメント方式のロータリーエンコーダで説明します。
ロータリーエンコーダのA相とB相の出力される信号の方式には、様々な仕組みあります。今回は一番単純な機械スイッチが入った物を使用します。この方式は、ロータリーエンコーダ内部にスイッチが入っており、片方がGND、もう片方がそれぞれの相に接続され、スイッチのON/OFFで出力します。マイコンなどで使用するときは、単純なスイッチなので、プルアップ抵抗もしくはプルダウン抵抗が必要になります。ですがAVRには、内部にプルアップ抵抗があるので、抵抗を必ずしも用意する必要はありません。
ロータリーエンコーダは、A相・B相で回転したかどうかがわかります。信号の意味の詳細は、ロータリーエンコーダの仕様書を見ると書いていますが、案外単純なプログラムで検出できます。
A相もしくはB相をトリガーとして、もう一方のHiかLoを見るだけで回転したかを確認できます。手順は、
- A相を立ち下がりを見る。
- B相がLoの時、時計回り(もしくは反時計回り)。Hiの時、反時計回り(もしくは時計回り)。
- 1-2を繰り返す。
となります。これで、回転したかを検知することができます。トリガーをうまく使うと、細かな回転を検知できますが、ステップ付きのロータリーエンコーダでは、この手順で十分です。
プログラム
プログラムを2種類書いてみました。1つは、スイッチの状態が変わるまで待つポーリング型。もう一つは、スイッチの状態が変化したときに動作する割り込み型です。
プログラムリスト
ポーリング型 re_poll.c
割り込み型 re_intr.c
割り込み型 チャタリング対策版 re_intr2.c
概要
プログラムは、ロータリーエンコーダを回転させたら、PORTDの出力を回転方向に合わせてビットシフトするものです。割り込み型の方には、参考の機能として、PB2を1秒間に5回ON/OFFさせています。
実験するときは、PORTDにLEDなどを付けてください。ロータリーエンコーダの入力は、PB0、PB1を繋いでください。A相・B相を区別する必要は、それほどありません。
ロータリーエンコーダの入力は、プルアップもしくはプルダウンする必要がありますが、このプログラムはAVRの内部プルアップ抵抗を使用しているため、不要です。
特徴
ポーリング型は、入力が変化するまで無限ループで待つため、プログラムが待ち状態になります。他の処理をする必要がある場合は、不向きです。
一方割り込み型は、入力の変化を検知し、それをトリガーとしてロータリーエンコーダの処理が行われます。入力が変化していない時は、他の処理を行うことができます。ただし、割り込みが発生すると、他の処理が途中で止まります。割り込み処理の中でグローバル変数など共有している物を使っている時は注意が必要です。
ロータリーエンコーダのチャタリングについて
今回使ったロータリーエンコーダの使用によると、チャタリングが発生し、プルアップ・ダウン抵抗によりますが最大5ms続くようです。
チャタリングを回避するために、5msのディレイを設けています。
ポーリング型の方は、安定して動作し、チャタリングを回避できましたが、割り込み型では、どうもうまくいきません。
割り込み型では、入力を確認する前にディレイを入れると、マシになりました。まだ少しチャタリングを起こしていますが、まだ許容できそうです。完全になくすには、コンデンサと抵抗でLPFを組む必要がありそうです。それでも安定しないときは、シュミットトリガーのNOT回路を通すと安定するかもしれません。
割り込み型で、チャタリング対策を改良しました。詳細は、次の記事にて説明しています。
動作している様子(動画)
動作しているところを動画にしてみました。
ポーリング型
チャタリングを起こさず、安定して動作しています。
割り込み型
若干チャタリングが発生しています。
この前買ったテスターで、周波数がカウントできたので、LEDの点滅回数を測って見ました。やはり、ロータリーエンコーダが回転しているときは、点滅回数が落ちており、処理が止まっていることがわかります。
こういった時間を扱う処理は、ディレイではなく、タイマーを使うとうまくいくかもしれません。
P.S 動画は、Xperia Arcで撮影しました。一応最高画質のはずです。再エンコードはしていないので、そのままの画質です。
コメントする