車載 WiFi スポット

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Amazon music や YouTube が車でも使えたらな・・・

あ、そうだ、車内で Amazon Fire TV を使えるようにしよう。

と思い立ったのが今年4月の出来事。

Amazon Fire TV を車載し、使えるようにした。

Amazon Fire TV を使うには、インターネット接続が当然だが必要となる。しかも、VoD サービスなどストリーミングを利用するにはある程度の安定性が求められる。したがって、移動している環境下でいかに高速に安定して通信できるが課題となる。

そんな課題を解決するために、LTE を上流とする WiFi アクセスポイントを自動車に設置し、車載 WiFi スポットを構築した。

実は、構築したのは 5 月の話である。なぜ今さら掘り起こして書いているかというと、2019年7月12日 NTT docomo が docomo In Car Connect というサービスを新たに提供するというプレスリリースを出したためである。

https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2019/07/12_00.html

このサービスが、本記事で紹介する車載ネットワークの機能と似ており、もう少し早く発表されていれば こっちのサービスにしたのにな、と若干惜しい思いがあったので、急遽書いてみることとした。

なお、本記事は分解改造を伴う解説しています。もし同じことをされる場合は、自己責任でお願いします。

要件

私が作った車載 WiFi アクセスポイントのざっくりとした要件は以下のようなものである

  1. 常時インターネット通信が可能であること
  2. 車載できること
  3. 1 Mbps 以上のダウンリンク速度があること
  4. 通信量(所謂、ギガ) が 10 GB 以上であること
  5. エンジンスタート時に自動的に電源が入ること
  6. 田舎や山間部でも使用できること
  7. Chromecast が使えること

1 は、必須。途切れ途切れはストリーミングする上でよくない。

2 は、重要。できなければ話にならない。

3 は、仮定。5 Mbps 程度が出ていれば 720p くらいのものが見える。

4 は、ストリーミングした場合に相当な通信量が発生するので、多めがいい。

5 は、ハードウェアとしての利便性を考えての仕様。通電時に電源ボタンを押さずとも起動するようにしておきたい。

6 は、プラチナバンドとよばる 800 MHz 帯の通信ができることが条件。山道をよく走るので圏外は許せない。山間部を通る新東名などは電波が弱かったするのでその対策。

7 は、スマートフォンの音楽や動画を Fire TV に投影にできる便利なので、要件として入れた。

機器選定

色々考えた結果、構成は、家庭用の WiFi ルータを車載し、上流にモバイル回線が使える業務用ルータを使用して作ることにした。

当初は、モバイルルータで作ることも考えたが、自動で電源 ON になる機器が少なく、かつ、入手が困難であり現実的でなかった。また、モバイルルータの性能が低く、実際に Aterm MR05LN で検証したが WiFi のスループットが 数 Mbps 程度しか出ないため Chromecast が使い物にならなかった。

最終的に使った機材は、以下の通りとなった。

  • WiFi ルータ: TP-Link AC1200
  • ルータ: YAMAHA RTX810
  • USB データ通信端末: LG L-03F
  • 契約プラン: ドコモ データプラス (ギガホのペア回線)
  • Fire TV 4K

WiFi ルータは、手元にあった TP-Link AC1200 を使用することにした。使えればでも良かった。この AC1200 は 5GHz も使用できるが残念ながら屋外に対応しておらず、2.4GHz で運用している。

現在販売されているルータでモバイル回線が使用できる製品は、私が調べた限りだと YAMAHA のルータか、IIJ の SEIL のみであった。また、説明書を読む限り、YAMAHA ルータが比較的新しい L-03F に対応するようなので RTX810 を中古で探して購入した。

L-03F は、ドコモから過去に販売されていた USB データ通信端末であり、クアッドバンドに対応するため山間部でも使用できる特徴がある。

モバイル回線は、丁度この頃 (2019/4) に ドコモから新プランが発表され、30 GB まで使用可能かつ超過後でも 1 Mbps で使用できるギガホが登場したのでそれを使うことにした。手持ちのスマートフォンはドコモなので、日頃のギガ不足を改善することをかねてギガホに切り換えることにした。データ通信端末用には新たにデータプラスを契約し、スマートフォンをギガホの親回線を設定することで使い放題にできる。データプラスは月々 1,000 円となっており、他の MVNO を新規で契約するよりは遥に安く済ませることができた。

構築

用意したルータは、安定した商用電源の元で利用する想定となっているため、AC 100V 電源を使用する。一方で自動車は DC 12V となっており、電源方式が大きく異なるうえに、自動車の発電機 (オルタネーター) から出力される電圧は大きく変動 (12 V から 14 V) するため安定しない。そのため、ルータを車載するには電源をどのように要するかが重要となる。

AC1200 は、AC アダプターで駆動する製品だったので、AC アダプタの出力電圧である DC 12 V を供給すれば駆動する。安定した DC 12V 電源は、DC 12V 昇降圧コンバータを用いて作ることとした。一般的な DC-DC コンバーターは電圧を下げる or 上げるのどちらかだが、昇降圧コンバータはその両方が可能な DC-DC コンバーターである。これを用いることで不安定な自動車電源でも WiFi ルータに安定した電源を供給できるようになる。

RTX810 は、AC 100V ケーブル直付けの電源であり、内部に電源ユニットが組み込まれている。このような機器は、インバータを使用すれば使うことができるが、インバータを使用すると電力効率が悪く、熱として余計な電力を消費してしまいよくない。また、コンピュータは基本的に DC でしか動作しないものなので、DC ⇒ AC ⇒ DC となっていて、これは無駄であり精神的にも良くない。そこで DC-DC コンバーターを使用し効率の良い電源ユニットを作ることにした。RX810 は、実際に開けて確認すると内部にある電源ユニットから DC 5V の電圧が出力されていることが確認できた。そのため、12V から 5V へ変換する DC-DC コンバーターを用いて電力を供給するようにした。

以上で電源問題は解決したので、後は接続して作るだけとなる。今は割愛します。

性能

簡易的に計測したスループットは、インターネットのダウンロードで 最大 20 Mbps 程度となった。L-03F は、LTE-Advanced 非対応なので、PREMIUM 4G 対応のスマートフォンに慣れているとかなり遅く感じる。ただ、少なくとも amazon プライムビデオでストリーミングが止まることや YouTube で止まることはなかった。

起動に要する時間は、YAMAHA RTX810 が 20 秒程度で非常に高速でかなりよい。しかし、AC1200 が 1.5 分程度掛かってしまうので、ボトルネックとなっている。もっと高速に起動する WiFi ルータが良いかもしれない。

消費電流は Fire TV も合わせて、0.6 A 程度。電力にすると約 7 W くらい。

docomo In Car Connect のサービススペックとの比較

まだサービスリリースされていないのでニュースリリースで記載されている内容との比較しかできないが以下の点が違う。

  • docomo In Car Connect
    • LTE-Advanced (Premium 4G) 対応で高速な通信ができる。
  • 私の車載 WiFi
    • WiFi 間通信の性能が良い。
    • ちょっと安いかもしれない。
    • 強いて言えば、Site-to-Site VPN 接続が可能で、やろうと思えば、どこに居ても自宅のネットワークに接続できる。
  • 変わらないところ
    • エンジン ON で使用できる。
    • 通信制限なし、使い放題 (厳密にはギガホは上限あり)。

あとは、端末代の費用が明記されていないので気になる点ではある。ちなみに、本記事で紹介した機器は、1.5 万円程度で入手している。

まとめ

これから車載 WiFi 作ろうとするなら、これから始める docomo In Car Connect が良いと思う。私のように高性能な物がほしければ作るのもありですが、そんな人はあまり居ないと思う。

個人的には LTE-Advanced に対応した USB データ通信端末がほしいところ。しかし、そのような製品は全く市販されていないので残念に思う。今はテザリング機能が使えるのできっと需要がないのだろう。

暇があれば、詳細を公開してみる予定。

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